2009年3月19日木曜日

原油相場の動向と日本経済

現況
WTI(West Texas Intermediate)はアメリカ・テキサス州で産出される原油で、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引される先物価格が原油価格の世界的な指標となっている。
普段、WTI価格は北海産ブレンドやドバイ産原油などよりも若干高くなっているが、先日までWTI価格が異常に低い数値を付けていた。
WTIの現物の引き渡しはオクラホマ州のクッシングで行われるのだが、そこの在庫が異常に増えたためだ。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの『原油リポート』2009年3月11日号は、それらの在庫調整は一巡し(いまだここ数年で最高水準だけど……)、中国の景気対策などによって原油需要が少しずつ復活し、原油価格は徐々に持ち直していく可能性を指摘している。

また、中国はこの不景気を逆手にとって、原油貯蔵を増やしているとされている。
建造した貯蔵タンクを、原油価格が低いうちに満たしてしまおうという考えなのだろう(たしかソースは『フォーサイト』)。

実際、現在のWTI先物の1ヶ月物が40ドル台後半なのに対し、24ヶ月物は62ドル、さらに一年延びると66ドル、さらに一年で70ドルとなっている(NYMEXのウェブサイト参照)。

日本経済
2007~8年夏を見ればわかるように、原油価格が上がると、油だけでなくあらゆる物価が上昇する。
つまり、今後日本が速やかな景気対策に失敗した場合、スタグフレーション(=景気が悪いのに物価が上昇する)になりかねない。

通貨とはその国に対する信任である。
日本は円が安くなると喜ぶが、不景気から脱せられず、原油高がそれに追い打ちをかければ円は確実に安くなる。それが原油の輸入価格をさらに上昇させることになり、最悪の循環となるだろう。

そうなったとき、生き残れるのは国内ではなく国外にウケの良い技術、特に濾過膜や鉱物探査、金属、高炉など、特殊な<技術>を持った企業だけに……